建設業が「借りられる会社」になるには?信用金庫依存から抜け出す3つの準備を専門家が解説

本記事は「信用金庫の赤字が急増、建設業の資金繰りはどうなる?」の続編・対策編です。
前編では、信用金庫の赤字急増と、それが中小建設業の資金繰りに与える影響について解説しました。

信用金庫の審査が厳しくなるなか、建設業が「借りられる会社」であり続けるには何をすればいいのか——結論は、①決算書だけに頼らない融資資料の整備、②信用金庫一行への依存からの脱却、③メインバンクとの関係維持の3つです。

そしてそのすべての土台になるのが、社長ご自身が「自社は銀行からどう見られているか(格付の現在地)」を数字で把握していることです。

前編では、最終赤字の信用金庫が5社から17社へと3倍以上に急増した事実をお伝えしました。今回は、その具体的な対策を整理します。

「借りられる会社」とは、
決算書に加えて工事別の粗利益率や入金予定まで示せる資料を備え、複数の金融機関と関係を持ち、自社が銀行からどう評価されているか(格付の現在地)を経営者自身が把握している会社のことです。

対策①:「借りられる会社」になる準備を、今から始める

融資環境が厳しくなる局面で最初に効いてくるのが、この準備です。審査が厳しくなってから慌てて動くのではなく、まだ余裕のある今のうちに資料を整えておくことが、これからの資金調達を左右します。

決算書だけを持っていっても、もう通用しない

「決算書だけ持っていってもダメ。準備が必要なんです」——これは、私たちがいつもクライアントの社長にお伝えしていることです。

決算書は1年に一度の“結果”にすぎません。金融機関が知りたいのは、今この瞬間の稼ぐ力と、これから入ってくるお金の流れです。

そこを示せない会社は、審査が厳しくなる局面ほど評価されにくくなっていきます。

工事別の粗利益率・入金予定まで「見える資料」を整える

具体的には、工事別の粗利益率や、入金予定まで見える資料を、審査が厳しくなる前に整えておくことです。

「どの現場でいくら利益が出ていて、いつ入金があり、資金がいつ・どれだけ必要になるのか」を数字で説明できる状態にする。

これができている会社と、できていない会社とで、これから差が大きく開いていきます。逆に言えば、ここを整えるだけで、銀行との交渉の土俵そのものが変わることも少なくありません。

対策②:信用金庫一行への依存から抜け出す(金融機関の複線化)

前編でお伝えしたとおり、信用金庫は金利上昇で経営体力が問われる局面にあります。その一行に、自社の資金繰りをまるごと預けてしまうのは、正直、リスクが高すぎます。

水源はひとつより複数持っておくことが、いざという時の備えになります。

地方銀行・日本政策金融公庫・信用保証協会付き融資を組み合わせる

具体的な選択肢としては、地方銀行、日本政策金融公庫、信用保証協会付きの融資などがあります。

これらを自社の規模や事業内容に応じて組み合わせ、複数の「水源」を持っておくこと。特に日本政策金融公庫や保証協会付き融資は、民間金融機関の姿勢が厳しくなる局面で選択肢になり得ます。

どの先を、どの順番で開拓するかは会社ごとに最適解が異なるため、進め方は専門家にご相談いただくのが安全です。

一行に資金繰りを丸ごと預けることのリスク

信用金庫一行だけに依存していると、その一行の審査姿勢や経営体力の変化が、そのまま自社の資金繰りに直撃します。

取引金融機関を複線化しておくことは、金利や金融環境の変化に対するリスク分散そのものです。やみくもに口座を増やせばよいわけではありませんが、「頼れる先がここしかない」という状態からは、早めに抜け出しておきたいところです。

対策③:メインバンクとの関係性を、今のうちにしっかり保つ

当たり前のことのようで、実はこれができている会社は本当に少ないのが実情です。数字が厳しい局面になればなるほど、この「関係性」がものをいいます。

信用金庫は「数字」だけでなく「人柄・実行力・地域貢献」を見る

信用金庫は、数字だけでなく、経営者の人柄と実行力、そして地域への貢献を見る金融機関です。ここが地方銀行やメガバンクとは異なる、信用金庫ならではの特徴でもあります。

だからこそ、決算の数字が一時的に厳しくても、日頃の関係性や経営者の姿勢が評価され、いざという時に踏みとどまれるケースがあります。

普段から顔を合わせることが、いざという時に効く

支店長や担当者と、決算の説明のときだけでなく、普段から顔を合わせておく。たったこれだけで、いざという時の対応がまったく変わってきます。

良い情報も悪い情報も早めに共有し、「この社長はきちんと経営を見ている」と感じてもらえる関係を、環境が厳しくなる前に築いておくことが大切です。

すべての土台は、「自社の現在地」を数字で知ること

ここまで3つの対策をお伝えしましたが、正直に言うと、このすべてに共通する土台があります。それは、「自社が今どう見られているか」を、社長ご自身が把握しているかどうか、ということです。

「御社の格付はこのあたりです」と言われた社長は、ほとんどいない

銀行の担当者から「御社は今、格付でいうとこのあたりです」と面と向かって言われたことがある社長は、実はほとんどいません。

しかし、対策を打つうえで、この「現在地」を知らないまま進むのは、地図を持たずに山に登るようなものです。まずは自社が銀行からどう評価されているかを把握すること。それが、3つの対策すべての出発点になります。

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そこで私たちは、「資金設計図ライト」という無料の財務レポートを用意しました。

決算書1期分をお送りいただくだけで、同業と比べた収益性・安全性・返済力、そして銀行からどう評価されているかの推定まで、数字でお返しします。

これは営業のための入口ではなく、まず社長ご自身が「現在地」を正しく知るためのものです。「うちは大丈夫」かどうかを、感覚ではなく数字で確認できます。

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実績・事例——建設業500社超を支援してきたから言えること

株式会社シードコンサルティングは、建設・リフォーム業界の中小企業に特化して、これまで500社超の建設業経営者を支援し、100件を超える事業承継案件を手がけてきました。

20年以上、東京(西新橋)・大阪の拠点から現場に伴走してきたなかで、金融環境が変わるたびに痛感するのは、「早めに現在地を把握し、資料と関係性を整えた会社」ほど、いざという局面で選べる打ち手が多いということです。

今回お伝えした3つの対策は、どれも特別なことではありません。ただ、「わかっているけれど、後回しになっている」会社がほとんどです。

だからこそ私たちは、月次で財務に伴走する「財務の右腕」や、資金繰りの全体像を描く「Seed式資金設計図」を通じて、社長が数字で銀行と向き合える状態づくりをお手伝いしています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 銀行に決算書を持っていくだけでは、なぜダメなのですか?

決算書は年に一度の“結果”であり、金融機関が知りたい「今の稼ぐ力」や「これからの入金・資金需要」までは示せないためです。特に審査が厳しくなる局面では、工事別の粗利益率や入金予定まで見える資料を備えている会社ほど、評価されやすくなる傾向があります。まずは月次で数字を締め、説明できる資料を整えることをおすすめします。

Q2. 金融機関は、何行くらいと取引しておくのが安心ですか?

適切な取引金融機関の数は、会社の規模・地域・事業内容によって異なるため、一律の正解はありません。ただし、信用金庫一行だけに依存している状態は、その一行の姿勢の変化がそのまま資金繰りに直撃するためリスクが高いと考えられます。地方銀行、日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資などを組み合わせ、複数の水源を持っておくことをおすすめします。具体的な組み立て方は専門家にご相談ください。

Q3. メインバンクとの関係を良くするには、具体的に何をすればいいですか?

決算説明のときだけでなく、普段から支店長や担当者と顔を合わせ、良い情報も悪い情報も早めに共有することが基本です。信用金庫は数字だけでなく経営者の人柄・実行力・地域貢献も見る金融機関のため、日頃の関係性がいざという時の対応を左右します。環境が厳しくなる前に関係を築いておくことが重要です。

Q4. 自社の「格付(銀行からの評価)」は、どうすれば分かりますか?

銀行が明確に格付を教えてくれることは多くありません。自社の決算内容から、収益性・安全性・返済力といった指標を同業と比較することで、銀行からの評価をある程度推定できます。シードコンサルティングでは、決算書1期分から現在地を推定する無料レポート「資金設計図ライト」をご用意しています。まず現在地を把握することが、対策の出発点になります。

Q5. 「資金設計図ライト」とは何ですか?本当に無料ですか?

「資金設計図ライト」は、決算書1期分をお送りいただくだけで、同業と比べた収益性・安全性・返済力、および銀行からどう評価されているかの推定を数字でお返しする無料の財務レポートです。営業のための入口ではなく、社長ご自身が自社の現在地を正しく知ることを目的としています。お申し込みは専用ページから可能です。

著者情報

岡田 聡(おかだ さとし)

株式会社シードコンサルティング 代表取締役

建設・リフォーム業界の中小企業に特化した財務・事業承継・M&Aコンサルティングの専門家。20年以上にわたり500社超の建設業経営者を支援。100件以上の事業承継案件を手がけた実績を持つ。YouTube「建設業支援TV〜お金のミカタ〜」で業界の経営ノウハウを発信中。日本経営士協会 経営士、相続事業承継コンサルティング協会 エグゼクティブコンサルタント。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資・税務・法務に関する助言ではありません。実際の対応にあたっては、税理士・専門家にご相談ください。

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