建設業の資金繰りを改善する最も効果的な方法とは?年商5億円・内装工事会社の実例を財務のプロが解説

カテゴリ:建設業経営

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「忙しいのに、なぜかお金が残らない」。

建設業の資金繰り改善で最も効果的なのは、新規の借入を増やす前に、既存の融資をまとめ直すことです。

年商5億円の内装工事会社は、この融資の見直しを軸にした改善で、年間の返済額を約2,490万円から約2,000万円へ圧縮し、年間およそ450万円のキャッシュフローの余裕を新たに生み出しました。

5億円
事例企業の
年商規模
2,490万円
改善前の
年間返済額
2,000万円
改善後の
年間返済額
450万円
年間で生まれた
資金余力

建設業の資金繰り改善とは
案件別粗利の把握、資金繰り表の整備、既存融資の再構築を通じて、「忙しいのに儲からない」構造を断ち切り、手元資金に余裕を生み出す財務マネジメント手法です。シードコンサルティングでは、この一連のプロセスを「財務の右腕」として伴走しながら実行してきました。

なぜ「忙しいのに儲からない」建設会社が増えているのか

売上は上がっている。仕事も途切れない。それなのに、銀行口座の残高が目に見えて減っていく。

私たちのもとに来られる建設会社の社長で、最も多いのがこのパターンです。今回ご紹介する内装工事会社、年商約5億円・創業20年の会社も、まさにこの状態でした。

「忙しい=儲かっている」と信じてきた社長にとって、口座残高が減り続ける状況は、夜も眠れないほどの不安だったといいます。

価格転嫁したのに利益率が下がる「増収減益」の罠

「最近はうちも価格転嫁できたよ」という声は、確かに増えました。価格を上げれば売上は伸びます。だから「今期は増収だ」と喜ぶ社長も少なくありません。

しかし、ここに落とし穴があります。コスト上昇分を転嫁しきれていないと、売上は増えても利益率はむしろ下がっているのです。

増収でも、お金が残らない理由
「売上は上がった。でもお金は回っていない」。この状態の会社が、いま確実に増えています。売上という表面の数字だけを見ると、静かな利益の目減りに気づけません。

「見積もりで利益は取れているはず」という思い込み

工事別の粗利管理は、「できているようで、できていない」会社が非常に多い領域です。社長に尋ねると、多くの場合「見積もりの段階で必ず利益が乗るように作っているから大丈夫」とおっしゃいます。

ところが実際に着地してみると、工期がずれた、追加や変更で揉めた、といった理由で、当初見積もっていた粗利では終わっていないケースが多々あります。

見るべきは、完工後の着地粗利
大切なのは、見積もり時点の予定ではなく、完工後の着地で本当に利益が取れた工事だったのかを振り返ることです。

頭の中とごちゃごちゃExcelで回す資金繰りの限界

資金繰りが、社長と経理担当の間で「なんとなく」頭の中で回っているだけ、という会社も多く見られます。

それっぽいExcelはあるけれど、過去の実績と当月の予定が入り混じった、ごてごての表。「今月はこのくらい支払いがあって、このくらい入るから、まあいけるだろう」という長年の経験値での判断です。

優秀な経営者ほど、この感覚でなんとか乗り切れてしまいます。しかし、来月・再来月がどうなるかは見えていません。これはブラックボックスであり、資金が途切れた瞬間に一気に危機が表面化する、非常に危うい状態です。

資金繰り改善の第一歩は「現状の見える化」

この会社への支援で、私たちがまず行ったのは新規の借入ではありません。徹底した現状分析です。

数ある課題の中から、本当に経営を圧迫している真の課題は何かを優先順位をつけて洗い出し、それを解決するにはどんな数字を、誰が、どう出すべきかを整理しました。

案件別の粗利を「着地ベース」で振り返る

まず、主要案件の価格転嫁が本当にできているのかを分析し、工事別の粗利を完工後の着地ベースで振り返りました。

この作業を通じて、社長は「自分の会社の何が見えていなかったのか、初めて気づいた」とおっしゃいました。事業者は日々の現場に追われ、全体を俯瞰してまとめて分析する機会がほとんどありません。だからこそ、外部の目で見える化する価値があります。

受注一覧で6ヶ月先の入金を見える化する

私たちが特に重要視しているのが「受注一覧」です。これがないと、先々どんな受注があるのか、見込みでどのくらい入ってくるのかが見えません。

資金が足りない局面では、見込み案件に優先順位をつけ、「この案件は必ず取りにいこう」と社長自らが動いていく必要があります。

6ヶ月先の入金を見える化する
この会社では受注一覧を作成し随時更新することで、向こう6ヶ月先まで、いつ・いくら入ってくるかが見えるようになりました。目指すべき数字が明確になったことで、経営判断の質が大きく変わりました。

年間450万円の資金余力を生み出した「融資の組み直し」

現状分析が終わった後、私たちが最初に着手したのは新規借入ではありませんでした。

既存融資の返済条件を見直し、複数の借入を整理・一本化することで、毎月の返済負担を軽くする方法を選択しました。

その結果、年間約2,490万円だった返済額は約2,000万円まで圧縮され、約450万円のキャッシュフロー改善につながりました。

資金繰り改善=借入を増やすことではありません
まず見るべきなのは、今ある借入です。返済条件を見直すだけで資金繰りが改善する会社は少なくありません。

銀行との付き合い方も変わる

融資を組み直す際に重要なのは、銀行へ「困っているから助けてください」とお願いすることではありません。

数字に基づいた改善計画を示し、「この改善によって会社はこう変わります」と説明できることです。

金融機関は、数字が整理され、将来の見通しが説明できる会社を高く評価します。

銀行は「数字で話せる会社」を評価する
資金繰り表、受注一覧、改善計画。この3つが揃うだけでも、金融機関との対話は大きく変わります。

建設業経営者に伝えたいこと

資金繰りが苦しくなる会社には共通点があります。

「忙しいから大丈夫」「売上は増えているから問題ない」という思い込みです。

実際には、利益率の低下や返済負担の増加によって、静かに資金が流出している会社は少なくありません。

だからこそ、資金繰りは「苦しくなってから考えるもの」ではなく、「余裕があるうちに整えるもの」です。それが会社を長く成長させる財務の考え方です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 資金繰りが悪いときは、まず借入を増やすべきですか?

A. 必ずしもそうではありません。まずは既存融資の返済条件や借入全体を見直すことで改善できるケースが多くあります。

Q. 資金繰り表は本当に必要ですか?

A. はい。将来の入出金を見える化することで、資金不足を事前に予測し、早めの対策が可能になります。

Q. 銀行との関係はどう改善すればいいですか?

A. 数字に基づく改善計画を示し、資金繰り表や受注一覧などを活用して、将来の見通しを説明できることが重要です。

Q. 資金繰り改善はいつ始めるべきですか?

A. 資金が不足してからではなく、余裕があるうちに取り組むことで、選択肢が広がり改善もしやすくなります。

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この記事の著者

岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設業専門の財務・資金繰り・事業承継・M&Aコンサルタント。500社を超える建設会社を支援し、「財務の右腕」として資金繰り改善や融資戦略、利益体質づくりを伴走支援している。

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