事業承継で先代と後継者が対立するのはなぜ?建設会社の「確執リアルストーリー」と解決策を解説
カテゴリ:建設業経営
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創業70年・年商20億円。はたから見れば業績絶好調の建設会社で、80歳の会長と50代の社長の間に、承継から4年目で確執が起きました。
原因は、株式の8割を会長が握ったまま、優秀な社長が業績を伸ばすほど株価が上がり、かえって引き継ぎが難しくなるという構造です。
結論から言えば、お金より難しいのは感情面の調整であり、解決のカギは「中立な第三者」が間に入ることでした。
創業歴
年商規模
株式割合
表面化
事業承継における先代・後継者の確執とは
株式の移転、つまりお金の問題と、経営方針や立場をめぐる感情の問題が絡み合って生じる対立です。お金の話だけでは解決できず、当事者同士だけでは着地させにくいのが特徴です。
業績絶好調でも、なぜ確執は起きるのか
今回のモデルケースは、創業70年、年商20億円の建設会社です。30年近く経営してきた会長が、親族内の若手である50代の現社長へ事業を引き継ぎました。
引き継いだ後も業績は絶好調で、社長も非常に優秀。はたから見れば、バトンパスもできて業績も伸びている、何の問題もない会社です。
ところが、会社の内側では確執が起きていました。承継から約4年。後で詳しく見る「株」と「感情」の問題が静かに進行していたのです。
優秀な後継者ほど引き継ぎにくくなる、株価上昇のパラドックス
段階的に渡すつもりが、株価が上がってしまう
株を100%同時に引き継ぐケースは、ほとんどありません。まずは一部だけ渡し、「やってみろ」と様子を見るのが一般的です。
すると、優秀な後継者ほど張り切って新しい取り組みを進め、業績をさらに伸ばします。これは会社にとって喜ばしいことです。
しかし、その結果として株価が上がります。段階的に渡そうと思っていたのに、気づけば残りの株の評価額が手に負えない水準になっている。後継者が優秀であればあるほど、この罠にはまりやすいのです。
頑張るほど、引き継ぎが難しくなる
後継者にとっては、自分が頑張るほど自分の首を絞めるようなものです。かといって、業績を下げるわけにもいきません。ここが自社株承継の難しさです。
株を集約できない不安定さ
今回のケースでは、現社長の持ち株は約2割。残りの8割は、会長を中心に保有されたままでした。
この状態は不安定です。もし会長と衝突して「では社長を辞めろ」という話になれば、ここまで頑張ってきたことが報われなくなってしまいます。株を集約できていないことが、後継者の足元を不安定にしているのです。
お金より難しい「感情面の確執」
経営を進めるうちに、会長と社長で方針が食い違う場面が出てきます。世代も違えば、時代も変わっています。やり方が違うのは当然です。
「勝手にそんなことをして」という会長の思いと、「自分はこういう責任の取り方をしたい」という後継者の思い。これがぶつかります。
そして、この対立が株の移転問題と絡み合うと、話は一気にこじれます。買い取り資金の調達、持株会社を使った買い取りスキームなど、お金の解決策はいくつかあります。難しいのは、感情面の調整です。
承継は、数字だけでは終わらない
お互いが納得し、未来に向けてこの会社をいい形で残すために足並みを揃える。ここが最も難しいポイントです。
解決のカギは「中立な第三者」が入ること
客観的な判断軸と、ほどよい緊張感
当事者同士、特に親族間では、利害関係と感情のもつれが重なって合意が難しくなります。そこで意味を持つのが、中立な立場の専門家が間に入ることです。
お互いの状況を客観的に見て、「会社にとってはこういう形がベストではないか」「税務的にはこういう配慮が必要だ」といった判断軸を、冷静な立場から示す。
第三者が入ることでほどよい緊張感が生まれ、感情論で止まらず、話が前に進みます。
株価や確執ではなく、「会社をどう残すか」で同じ方向を見る
もう一つ大切なのは、議論の土俵を変えることです。「株価がどうだ」「あの態度がどうだ」という話に終始すると、まとまりません。
視点を、会社・社員・お客様のことへ引き上げるのです。会長にも社長にも、根っこには「会社を残したい」という共通の思いがあります。
話し合うべきテーマを変える
「誰が悪いか」ではなく、「この会社をどういう形で残したいか」。この問いに変えるだけで、対話の方向が変わります。
目指すのは「三方よし」の着地
最終的に目指すのは、継ぐ側、継がせる側、そして残されていく会社。その全員にとって納得感のある着地です。
どちらか一方の主張だけを立てれば、必ずもう一方が立たなくなります。だからこそ、「築いてきた会社という資産を、次世代へどういう形で残すのか」という大義に立ち返ることが必要です。
お金の面の解決はもちろんですが、それ以上に、感情のもつれがあったとしても、しばらく経った後で「あの時ああ決めて良かった」と思える着地に持っていくこと。これが何より重要です。
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「先代がなかなか株を渡してくれない」「方針が合わずぶつかってしまう」「業績は伸びているのに、引き継ぎの見通しが立たない」。こうした確執は、当事者同士だけで抱えるほどこじれます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 業績の良い会社でも、事業承継で揉めるのですか?
A. むしろ業績が良い会社ほど、自社株の評価額が高くなり、株の引き継ぎで揉めやすい面があります。
Q. なぜ後継者が優秀だと、株の引き継ぎが難しくなるのですか?
A. 後継者が業績を伸ばすほど自社株の評価額が上がり、残りの株を引き継ぐ際の贈与税や買い取り資金が膨らむためです。
Q. 先代と後継者の確執は、お金で解決できますか?
A. お金の問題には解決策がありますが、より難しいのは感情面の調整です。お金と感情の両面に向き合う必要があります。
Q. 第三者が入ると何が変わりますか?
A. 客観的な判断軸が生まれ、感情論に流れにくくなります。会社にとってどの形がよいかを冷静に整理できます。
この記事の著者
岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設・リフォーム業界の中小企業に特化した財務・事業承継・M&Aコンサルティングの専門家。20年以上にわたり500社超の建設業経営者を支援。100件以上の事業承継案件を手がけた実績を持つ。YouTube「建設業支援TV〜お金のミカタ〜」で業界の経営ノウハウを発信中。
https://seed-consulting.jp/
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