建設業の「ナフサ危機」とは?建材最大80%値上げ時代 に中小建設会社が利益を守る方法

ホルムズ海峡の封鎖リスクに伴う「ナフサ危機」が、建設業界を直撃しています。断熱材40%、シンナー最大80%――石油由来の建材全般が急騰し、出荷制限も始まっています。住宅業界だけでなく、下請け工事会社・専門工事業者にとっても原価と資金繰りの両面で深刻な影響が出始めています。

本記事では、報道内容を整理しつつ、シードコンサルティングの知見をもとに、原価高騰から利益を守るための価格転嫁の進め方と、資金繰り悪化を防ぐための具体的な対策を解説します。

最大80%
シンナーの値上げ幅

40%
断熱材の値上げ幅

9割
日本の原油中東依存率

52.4%
中小企業の価格転嫁率

「ナフサ危機」とは?
中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が封鎖リスクに直面し、日本の原油輸入の多くを占める中東からの供給が不安定化したことで、石油精製の副産物である「ナフサ」が不足し、ナフサを原料とする断熱材・塩ビ樹脂・塗料・シンナーなど建材全般の価格が急騰している現象を指します。

ナフサ危機で建設業に何が起きているのか

ホルムズ海峡封鎖と化学メーカーの減産

中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、日本の原油輸入ルートが不安定化しています。これを受け、化学メーカー各社がエチレンの減産を相次いで発表し、ナフサ由来の建材価格が急騰しています。

建材値上げ・出荷制限の実態

影響は住宅業界に限りません。ナフサ由来の資材は建設現場全般で日常的に使われています。

断熱材
40%値上げ
塩ビ樹脂
1kgあたり30円以上の値上げ
シンナー
30〜80%の値上げ
補修剤・床材
販売数量制限
工務店の見積もり
5〜10%値上げの動き

断熱材、配管、塗料、シンナー、床材、シーリング材、接着剤――現場で使わない日がないものばかりです。ウッドショックが木材に限られていたのに対し、今回は石油由来の建材全般が対象であり、「ウッドショック超え」の影響が懸念されています。

中小建設会社が直面する2つの経営リスク

リスク1:原価上昇を転嫁できない「利益の侵食」

資材が値上がりすれば原価は上がります。しかし多くの下請け会社は、元請けとの契約単価をすぐには変えられません。コストは上がるのに売値は変わらない――利益がそのまま削られていく構図です。

リスク2:資金繰りの「静かな悪化」

資材が値上がりすれば仕入れに必要な運転資金が増えます。出荷制限で工期が伸びれば、完成時期がずれて入金も後ろにずれます。つまり、「出ていくお金は増えて、入ってくるお金は遅れる」という二重の圧力がかかります。

【要注意】3ヶ月後の手元資金残高に即答できますか?
資材の値上がりと工期延長が重なると、必要な運転資金は想像以上に膨らみます。「今月は大丈夫」でも、3ヶ月後の資金残高を即答できない場合は、早急に資金繰り表を作成する必要があります。

利益を守る「価格転嫁」の進め方

「お願い」ではなく「根拠」で交渉する

価格転嫁を成功させるために必要なのは、根拠に基づく交渉です。メーカーからの値上げ通知書、自社の仕入れ単価の変動データ、比較資料などを揃えて交渉すれば、元請けの担当者も社内で説明しやすくなります。

改正建設業法が「追い風」になる

改正建設業法では、「標準労務費」の設定と原価割れ受注の禁止が明文化されています。コスト上昇分を転嫁することは、わがままではなく、正当な協議として進めるべきものです。

【契約書に入れるべき1行】

「燃料・運搬費・主要資材価格が急変した場合、請負代金および工期について協議の上、変更となる可能性があります。」

資金繰り悪化を防ぐ「先読み」と「早め」の対策

キャッシュフローの見通しを立てる

まず着手すべきは、案件別の入出金スケジュールを可視化することです。工期延長リスクも織り込んだうえで、向こう3〜6ヶ月の資金繰り予測を作成しましょう。

金融機関への相談は「先手」が鉄則

金融機関への相談は、「困ってから行く」のと「先手を打って行く」のとでは、対応がまったく違います。余裕のあるうちにキャッシュフローの見通しを立て、必要であれば融資や借り換えの準備を進めておくことが重要です。

いますぐ着手すべき3つのアクション

  1. 自社の原価を正確に把握する
    案件別粗利、追加・変更工事の未請求額、資材の仕入れ単価変動を確認する。
  2. 根拠を持って価格交渉に臨む
    値上げ通知書、自社の仕入れコスト推移、法改正の情報などを揃えて協議する。
  3. 資金繰りを先読みして手を打つ
    3ヶ月後、半年後の資金残高を予測し、必要なら早めに金融機関へ相談する。

よくある質問(FAQ)

Q. ナフサ危機はいつまで続きますか?

A. ホルムズ海峡の状況に大きく依存するため、終息時期の予測は困難です。短期的な問題と捉えず、原価管理と価格転嫁の仕組みを恒久的に整備することが重要です。

Q. 下請けの立場で元請けに値上げ交渉はできますか?

A. できます。根拠資料を揃えれば、正当な協議として進めやすくなります。

Q. 資金繰りが厳しくなったとき、まず何をすべきですか?

A. 向こう3〜6ヶ月の入出金スケジュールを案件別に可視化し、資金がショートしそうな時期を把握することが先です。

Q. ウッドショックとナフサ危機はどう違いますか?

A. ウッドショックは主に木材価格の高騰でしたが、ナフサ危機は石油由来の建材全般に影響するため、打撃範囲が広い点が大きな違いです。

この記事の著者

岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設・リフォーム業界の中小企業に特化した財務・事業承継・M&Aコンサルティングの専門家。20年以上にわたり500社超の建設業経営者を支援。100件以上の事業承継案件を手がけた実績を持つ。
https://seed-consulting.jp/

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