業績好調なのに事業承継が苦しい?自社株の株価高騰と「退職金による株価対策」を解説

カテゴリ:建設業経営

この記事はYouTube動画をもとに作成しています

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コロナ禍を乗り越えてV字回復した建設会社。利益は絶好調で、決算書はニヤニヤしながら見せたくなるほどの好業績。

それなのに、3年後・70歳での引退を控えた社長の顔は浮きません。業績が良いほど自社株の評価額が上がり、後継者の贈与税や買い取り負担が膨らんでしまうからです。

結論から言えば、王道の対策は「退職金による株価対策」です。3年のロードマップで段階的に備えれば、道筋は見えてきます。

V字回復
業績好調で
株価上昇
3年後
70歳での
引退予定
退職金
王道の
株価対策
3年
承継ロード
マップ

自社株の株価対策とは
業績好調で高騰した自社株の評価額を、退職金の支給などによって計画的に引き下げ、後継者が無理なく株式を引き継げる状態をつくる事業承継対策です。業績が良い会社ほど必要になる、出口、つまり承継に向けた準備です。

業績V字回復が招いた「悲劇」:利益が出るほど後継者が苦しむ理由

今回のモデルケースは、建設業を中心に不動産や新規事業も手がける会社です。コロナ禍では資金繰りも厳しく、社長と一緒に頭を悩ませた時期もありました。

ところがこの数年は業績が絶好調。今期も大型受注が決まり、利益はしっかり出ています。社長は3年後、70歳での引退を考えており、後継者は取締役を務める長男です。

親子仲も良く、穏やかで、確執のような問題は少ない。その意味では恵まれたケースです。

それでも、社長の悩みは尽きません。

社長の本音
「財務は良い。俺はいい。けど、この後継者、大変じゃないか」

業績が伸びるほど純資産が積み上がり、自社株の評価額が上がり続けます。このまま3年後の出口を迎えれば、後継者に多額の贈与税を払わせ、場合によっては借金までさせることになりかねません。

増えすぎた自社株評価が承継の足かせになる。これは、業績の良い会社にこそ起きる典型的な悩みです。

王道の株価対策は「退職金」:純資産を圧縮する仕組み

純資産が増えて株価が高くなっているなら、王道の対策は、社長の引退時にしっかりと役員退職金を受け取ることです。

退職金を支給すると、その期は特別損失が計上され、長年積み上げてきた内部留保、つまり純資産が圧縮されます。利益も大きく赤字に振れます。

その結果、その期の自社株評価は大きく下がります。社長がこれまでの貢献に見合う退職金を受け取ることで、結果的に後継者へ株を渡しやすくなるという、一石二鳥の対策です。

退職金による株価対策の基本
長年いい会社をつくってきた社長が正当な対価を受け取り、同時に後継者の負担を軽くする。この設計が、事業承継における退職金活用の基本です。

ただし、どこまで下がるのか、どの程度の調整が必要かは、会社ごとに大きく異なります。退職金の金額や支給のタイミングは、株価対策・出口対策として必ずシミュレーションのうえで設計する必要があります。

また、役員退職金は「不相当に高額」と判断されると損金算入が否認されるリスクがあります。適正額の範囲・手続きを税理士と確認しながら進めることが前提です。「とりあえず大きく取ればいい」という単純な話ではありません。

3年後の引退から逆算する「事業承継ロードマップ」

社長がいちばん不安なのは、「いったいどれくらいの負担になるのか」という数字が見えないことです。

そこで有効なのが、3年後の引退というゴールから逆算したロードマップです。1年目・2年目・3年目で何をやるかを計画に落とし込むと、漠然とした不安が「やるべきこと」に変わります。

3年ロードマップで確認すべきこと

・今の業績が続いた場合、純資産がどれだけ増えるか

・3年後の自社株評価がどこまで上がるか

・退職金をいくら支給すれば株価がどこまで下がるか

・退職金以外の対策が追加で必要か

・株式を誰に集約するか

ロードマップがあると、不安は「準備」に変わる

事業承継で本当に怖いのは、「何をすればいいかわからない」状態です。

しかし、ゴールを決めて逆算すると、今やるべきことが明確になります。株価対策も、税金対策も、後継者への株式移転も、一つひとつ計画的に進められるようになります。

出口から逆算する発想
「70歳で引退する」ではなく、「70歳で安心して会社を託せる状態をつくる」。この視点に変わるだけで、事業承継は大きく前へ進みます。

退職金だけでは足りないケースもある

もちろん、すべての会社が退職金だけで解決するわけではありません。

株価が非常に高い会社や、不動産・有価証券など資産を多く保有している会社では、退職金だけでは十分に評価額を下げられない場合もあります。

その場合は、持株会社の活用や組織再編、資産の整理など、複数の対策を組み合わせることが必要になります。

会社ごとに最適解は違う
「この方法なら必ず大丈夫」という万能策はありません。会社の財務内容、株価、後継者の状況を踏まえたオーダーメイドの設計が重要です。

建設業経営者に伝えたいこと

建設業は利益が出始めると、自社株評価額も急速に上がります。

「会社が良くなったから安心」ではなく、「会社が良くなった今だからこそ承継対策を始める」。これが重要です。

実際に、多くの社長が「もっと早く取り組めば良かった」と話されます。

退職金対策も、株価対策も、数年かけて準備するからこそ効果が発揮されます。時間は、事業承継における最大の味方です。

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よくある質問(FAQ)

Q. なぜ業績が良いと自社株評価額が上がるのですか?

A. 利益が積み上がることで純資産が増え、非上場株式の評価額も高くなるためです。

Q. 退職金だけで株価対策は十分ですか?

A. 会社によります。退職金だけで十分なケースもあれば、持株会社や組織再編などを組み合わせる必要があるケースもあります。

Q. いつから準備を始めればいいですか?

A. 引退の3〜5年前には着手することをおすすめします。時間を味方につけることで選択肢が広がります。

Q. 退職金の金額は自由に決められますか?

A. 自由ではありません。不相当に高額な退職金は税務上認められない可能性があるため、適正額を専門家と確認しながら設計する必要があります。

この記事の著者

岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設業専門の財務・事業承継・M&Aコンサルタント。500社を超える建設会社の経営支援を行い、株価対策・事業承継・資金繰り改善まで一貫してサポート。YouTube「建設業支援TV〜お金のミカタ〜」でも建設業経営に役立つ情報を発信している。

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