建設業のナフサショック対策とは?値上げ・資材不足が続くいま、現場が見直すべき5つの実務ポイントを解説
カテゴリ:建設業経営
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ナフサショックによる値上げと資材の遅れが、2026年6月に入っても続いています。住設機器は受注が再開し始めた一方、塗料・防水材などは依然として入りにくく、一部の部材は最大20%の値上げに踏み切られました。
物価高による建設業の倒産は前年同月比で約3倍に増えています。本記事では、500社超を支援してきたシードコンサルティングが、現場の最新状況と、いま見直すべき5つの実務ポイントを解説します。
値上げ幅
建設業前年比
回答数
見込み時期
※数値は商工リサーチ等の報道および自社アンケートに基づく。公開前に最新値・出典をご確認ください。
ナフサショックとは
石油由来原料であるナフサの価格高騰を起点に、塗料・防水材・樹脂建材などの資材価格の上昇と供給の遅れが連鎖し、建設業の原価とキャッシュフローを圧迫する一連の現象を指します。
2026年6月時点のナフサショック最新状況
まず、いま現場で何が起きているのか。結論から言うと「業種によって状況の差が大きく、値上げと遅れは6月も続いている」というのが実感です。
住設は受注再開、塗料・防水は依然厳しい
大手の住宅設備メーカー各社は受注を再開し、遅れはあるものの、ものは少しずつ入ってくるようになりました。一方で、塗料や防水材など石油製品系の資材は、依然として入りにくい状況が続いています。同じ建設業でも、扱う資材によって体感がまったく異なるのが今回の特徴です。
値上げラッシュは6月も継続
石膏ボードをはじめとする各種部材は、6月に入ってさらに値上げが進み、値上げ幅が20%に達するケースも出ています。「前にも上がったのに、また上がった」という繰り返しで、見積もりが出しづらいという声が現場から多く上がっています。
物価高倒産は前年比約3倍、本格化はこれから
商工リサーチなどのデータによると、物価高を原因とする倒産は前年同月比で約3倍に増えています。しかもこれは春先の段階の数字です。ナフサショックの影響が本格的に表れるのは、これからの夏場、特に7〜8月になる可能性が高いと見ています。
「総量は足りているのに現場に届かない」のはなぜか
政府は「ナフサは中東以外からも代替調達しており、年度を越えても供給は継続できる」と発信しています。総量としては足りてくる見込みです。しかし、現場の実感はそれに伴っていません。
サプライチェーンのどこかで起きている「目詰まり」
総量は足りているのに、必要なところに必要な量が届かない。いわゆる「目詰まり」が、流通のどこかで起きていると考えられます。在庫が一部に滞留し、価格も倍近く、ものによっては3倍近くで取引されるケースも出ています。
優先的に回る取引先と、回りにくい取引先の差
ある地域の大手建材商社に聞くと、在庫はあるものの、関係性の深い重要な取引先から優先的に回しているとのことでした。裏を返せば、規模が小さい会社や取引の薄い会社ほど、資材が入りにくくなりつつあるということです。
ここに注意
「回る会社」と「回らない会社」の差は、これから歴然と出てきます。普段からの取引関係や情報のやり取りが、こうした有事に効いてきます。仕入先とのコミュニケーションを、いまこそ密にしておきましょう。
値上げに負けない「見積・契約」の見直し3点
落ち着くまでのタイムラグの間に、現場でやるべき防衛策を整理します。まずは見積もりと契約まわりの3点です。
① 受注残の原価を「新価格」で再計算する
いま抱えている受注案件の原価を、6月の新価格で計算し直してください。過去の単価のまま残っている受注残は、いわば「赤字爆弾」です。気づかないまま施工を進めると、仕事を終えたのに利益も現金も残らない事態になりかねません。
ストレステストの例
「材料費が10%上がり、外注費が5%上がり、工期が2週間ずれても、この現場で粗利は残るか?」この前提で受注残を計算し直すと、「利益が全部飛ぶ」「キャッシュが回らなくなる」案件が見えてきます。
② 見積書の有効期限を短くし、価格改定条項を入れる
価格変動が大きいいまは、見積書の有効期限を7〜14日程度と短めに切るのが有効です。事情を丁寧に伝えたうえで、都度見積もりを出し直す形にしましょう。あわせて、契約書には価格改定条項を入れておくと、交渉の土台ができます。
③ 支払条件を前倒しにして、キャッシュを先に確保する
値上がりを見越して受注を先に取っても、ものが入らず工期が後ろにずれると、入金も遅れてキャッシュが苦しくなります。着手金30%・発注時30%・中間金・完成金といった形で、なるべく前倒しで入金を受けられる支払条件を設計しておきましょう。
「現場が止まらない」ための資材・工期の備え2点
④ 重要資材の納期を案件ごとに確認する
シンナーなどの塗料、防水剤、ルーフィング材は、いま特に影響が大きい資材です。これらが止まると、現場が丸ごとストップしてしまいます。「いつも通り入るはず」と考えず、案件ごとに重要資材の納期を事前に確認しておきましょう。
⑤ 工期延長条項を入れて、遅延リスクに備える
資材の遅れで工期が延びる可能性がある以上、工期が延長した場合の対応について、あらかじめお客様に説明し、見積もり・契約に織り込んでおくことが大切です。後から揉めないための、事前のひと手間です。
いま、ひとりで抱え込まないために
ここまで挙げた内容は、これまでも繰り返しお伝えしてきた基本です。「わかっているけれど、現場が忙しくてできていない」。多くの場合、これが現実だと思います。だからこそ、やっているかどうかが、この先の差になって表れます。
シードコンサルティングでは、こうした有事には資金繰り・資金調達の支援を最優先に取り組んでいます。困っているのはあなただけではありません。バタバタの現場でこそ、冷静に一つずつチェックしていくことが大切です。
関連記事もあわせてご覧ください
今回のような有事は「出口戦略」を考えるきっかけにもなります。倒れる前に選択肢を持っておくことの重要性については、関連記事「建設業の『諦め倒産』と経営者が持つべき出口戦略」もあわせてご覧ください。
シードコンサルティングの支援
シードコンサルティングは、建設・リフォーム業界に特化し、500社超の支援と100件超の事業承継案件を手がけてきました。「財務の右腕」を通じて、資金繰り・資金調達から原価管理まで、有事の現場を一緒に乗り切るお手伝いをしています。
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よくある質問(FAQ)
Q. ナフサショックによる値上げや資材不足は、いつ落ち着きますか?
A. 総量としては供給が足りてくる見込みで、いずれ落ち着くと考えられます。ただし、現場に行き渡るまでにはタイムラグがあり、影響が本格化するのは2026年の夏場、6〜8月になる可能性が高いと見ています。
Q. 供給は足りていると聞きますが、なぜ現場に資材が届かないのですか?
A. 流通のどこかで在庫が滞留する「目詰まり」が起きていると考えられます。加えて、商社は関係性の深い取引先に優先的に在庫を回す傾向があり、規模の小さい会社や取引の薄い会社ほど入りにくくなりがちです。
Q. 受注済みの工事の原価が上がってしまいました。どう対応すべきですか?
A. まず、受注残の原価を新価格で再計算してください。「材料費+10%・外注費+5%・工期+2週間でも粗利が残るか」というストレステストで、赤字になる案件を早めに把握します。
Q. 見積書・契約書は、具体的にどこを見直せばよいですか?
A. ポイントは3つです。見積書の有効期限を7〜14日程度と短くすること、契約書に価格改定条項を入れること、支払条件を着手・発注・中間・完成と前倒しにしてキャッシュを先に確保することです。
Q. 資材の遅れで工期が延びそうです。何に備えるべきですか?
A. 案件ごとに重要資材の納期を事前に確認し、工期延長時の対応を契約に織り込んでおきましょう。工期が延びれば入金も遅れるため、支払条件を前倒しにしてキャッシュフローを守ることも併せて検討してください。
この記事の著者
岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設・リフォーム業界の中小企業に特化した財務・事業承継・M&Aコンサルティングの専門家。20年以上にわたり500社超の建設業経営者を支援。100件以上の事業承継案件を手がけた実績を持つ。YouTube「建設業支援TV〜お金のミカタ〜」で業界の経営ノウハウを発信中。認定経営革新等支援機関。
https://seed-consulting.jp/
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