建設業の「諦め倒産」とは?ナフサショックで急増する倒産と、経営者が持つべき出口戦略を解説

カテゴリ:建設業経営

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ナフサショックをきっかけに、建設業の倒産が再び増えています。横浜の老舗建材商社が「諦め倒産」と語って破産した事例は、決して特別な話ではありません。

コロナ、ウッドショック、そしてナフサショック。建設業界では数年おきに必ず何らかの「ショック」が起こります。そのたびに何とか持ちこたえてきた会社が、最後の一押しで力尽きてしまう。本記事では、諦め倒産が起きる構造と、経営者が体力のあるうちに持っておくべき「3つの出口戦略」を解説します。

+18.6%
建設業倒産件数
前年同月比
約3倍
物価高倒産
建設業前年比
2,000件超
建設業の年間倒産
12年ぶり水準
38名
破産した建材商社の
従業員規模

※数値は帝国データバンク等の報道ベース。公開前に最新値・出典をご確認ください。

「諦め倒産」とは
債務超過や資金繰り悪化が長期間続いた末に、経営者が再建や事業継続を断念し、自ら破産・廃業を選ぶ倒産を指します。シードコンサルティングでは、この「諦め倒産」の多くは、もっと手前の段階であれば防げたものだと考えています。

なぜ今、建設業で「諦め倒産」が増えているのか

結論から言うと、原因は「不況」ではありません。仕事はあるのに、上がり続けるコストを価格へ転嫁できず、粗利と現金が削られて力尽きる。これがいま現場で起きていることです。

ナフサショックは「引き金」にすぎない

横浜の老舗建材商社は、創業30年以上・従業員38名の建材商社で、負債は1億円強。社長は「諦め倒産だ」と語っていたと報じられています。ピーク時には売上6億円規模だったものの、2023年ごろには債務超過に陥っていました。ナフサだけが原因ではなく、積み重なった構造的な問題が背景にありました。

物価高倒産が前年比で急増している

建設業の倒産は直近で前年同月比+18.6%。物価高を直接の原因とする「物価高倒産」は建設業で特に多く、ある月には33件と前年比約3倍に達しています。物価が上がり、人件費も上がり、粗利が削られて倒れる。これが、いま増えている倒産の典型的な姿です。

本格化はこれから
注目すべきは、これらの数字が春先の段階のものだということです。値上げは6月以降さらに加速しています。ナフサショックの影響が本格的に表れるのは、これからの夏場、6〜8月になる可能性が高いと見ています。

経営者が持つべき3つの選択肢

「倒産が増えています」という話だけでは何も変わりません。大切なのは、経営者にどんな選択肢があるかを知っておくことです。

選択肢①:このまま継続する

頑張れば何とかなる。これが第一の選択肢です。継続そのものは立派な選択です。ただし「いつまで持たせられるか」という問いからは、誰も逃げられません。

選択肢②:倒産・廃業する

ギリギリまで我慢した末に、もう無理だと廃業・倒産する。これが二つ目です。しかし、追い込まれてからの倒産は、従業員にとっても取引先にとっても、最もダメージの大きい結末になりがちです。

選択肢③:第3の道=出口戦略

倒産・廃業する前に、選択肢があるうちに別の出口を選ぶこと。たとえ赤字・債務超過であっても、打てる手はあります。これが本記事のテーマである「出口戦略」です。

なぜ多くの会社が出口戦略を選べないのか

① 相談できる相手がいない

金融機関が「そろそろ別の選択肢を考えませんか」とM&Aを積極的に提案してくれることは、ほとんどありません。顧問税理士や同業の仲間も、親身ではあっても出口戦略の専門家ではないため、具体的なアドバイスは難しいのが実情です。

② ネガティブなイメージと不安

「身売り」「スポンサー」という言葉には、どうしてもネガティブな響きがあります。実際にやってみるとそうではないのですが、不安が先に立ち、自分から考えたくないという心理が働きます。

③ 「まだ頑張れる」という心理

頑張れるうちは頑張りたい。経営者として当然の感情です。しかし、この心理こそが、タイミングを逃す最大の要因になります。

ここが分かれ目
タイミングを逃すと、選択肢は静かに消えていきます。赤字がさらに進むとスポンサー候補は限られ、提示される条件も厳しくなり、最後は「倒産しか残らない」状態に追い込まれてしまいます。

建設業の出口戦略「3つの型」

建設業でよく選ばれる出口戦略には、主に3つの型があります。すべてに共通するのは「自社だけで抱え込まない」という発想です。

① 戦略的グループ化

まだ体力があるうちに、信頼できる会社のグループに入る方法です。後継者がいない、このまま単独では先が見えない。そう感じたら、雇用を守りながら事業を続けるための有力な選択肢になります。

② スポンサー型再生

すでに債務が重く、自社だけでは返しきれない場合でも、諦める必要はありません。私的整理・法的整理や第二会社方式などで債務を整理したうえで、スポンサーを迎えて立て直す方法です。

③ 同業統合・地域連携

同じ地域のリフォーム会社・建設会社が統合し、一社では作れない「強い会社」を一緒につくる方法です。これも近年増えている出口の形です。

赤字・債務超過でも、出口は描けることがある
赤字・債務超過の会社の出口を、シードコンサルティングは何社も支援してきました。もう一歩手前で相談できていれば違う結果になったはず、と感じる事例が少なくありません。出口があったとしても、それを描けるかどうかで未来は変わります。

今日から取り組むべき3つのアクション

1. 受注残の粗利を再計算する

「材料費が10%、人件費が5%上がっても粗利は残るか?」を、いまある受注案件で計算し直してください。仕事を終えたのに利益も現金も残らない、という状態が最大のリスクです。

2. 見積書・契約書の条件を見直す

価格改定条項を入れる、支払サイトを短くする、工期の途中でもキャッシュが入る形にするなど、契約段階での備えを点検しましょう。

3. 出口戦略を「今のうちに」専門家と話しておく

黒字で体力があるうちこそ、選択肢は多く残っています。悪くなってから動くのでは間に合いません。

シードコンサルティングの支援
シードコンサルティングは、建設・リフォーム業界に特化し、500社超の支援と100件超の事業承継案件を手がけてきました。「財務の右腕」や「事業承継ドック」を通じて、平時の財務改善から有事の出口戦略までを一貫してサポートしています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 赤字や債務超過でも、M&Aなどの出口戦略は可能ですか?

A. 可能なケースは少なくありません。スポンサー型再生や第二会社方式など、債務を整理したうえで事業を残す方法があります。ただし、状況が悪化するほど候補も条件も限られます。

Q. 建設業の出口戦略は、いつから考え始めるべきですか?

A. 理想は「黒字で体力があるうち」です。後継者の有無にかかわらず、会社の5年後・10年後を描いておくことで、いざという時に動かせる選択肢が増えます。

Q. 銀行や税理士は、出口戦略を提案してくれないのですか?

A. 金融機関がM&Aを積極的に提案することは多くありません。また、顧問税理士や同業の方は心強い相談相手ですが、出口戦略やM&Aの専門家ではないため、具体的な打ち手まで踏み込むのは難しいのが実情です。

Q. ナフサショックで粗利が削られています。まず何をすべきですか?

A. まず、いまある受注残の粗利を再計算してください。「材料費+10%・人件費+5%でも粗利が残るか」を確認し、見積書・契約書の価格改定条項や支払条件も併せて点検します。

Q. 「諦め倒産」を避けるために、最初の相談はどこにすればよいですか?

A. まずは自社の財務の現状、案件別の粗利、資金繰り予測、出口の選択肢を整理することから始めましょう。

この記事の著者

岡田 聡(おかだ さとし)
株式会社シードコンサルティング 代表取締役
建設・リフォーム業界の中小企業に特化した財務・事業承継・M&Aコンサルティングの専門家。20年以上にわたり500社超の建設業経営者を支援。100件以上の事業承継案件を手がけた実績を持つ。YouTube「建設業支援TV〜お金のミカタ〜」で業界の経営ノウハウを発信中。認定経営革新等支援機関。
https://seed-consulting.jp/

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